「はぁ・・・ッ、ふ・・・・」

「・・・・色っぽいな。」

リクオはペロリと唇を舐め、ニヤリと笑いながら、腕の中のつららを見下ろした。

「りく、お、さま・・・?」

見上げるつららの表情は、官能的で、リクオの情欲を煽るものでしかない。

寝間着は乱れ、袷からは真っ白な肌が覗き、艶やかな髪が乱れ、トロンとした瞳は、快楽に墜ちる寸前の色を孕んでいる。

リクオはごくりと喉を鳴らして、つららの白い首筋に顔を埋めた。

「ひゃ、ぁんっ・・・・」

ペロリと首を舐められて、つららはあられもない声を上げた。



リクオは誰もいないとはいえ、縁側であることもお構いなしに、つららの身体に手を這わせ、寝間着ごしにさわさわとまさぐり始めた。

「ぁ・・・や・・・リク、オさまぁ・・・」

つららは首筋に与えられる感触と、身体を這うリクオの手に、背中をゾクリと駆け上がる奇妙な感覚に襲われた。

「つらら・・・・」

リクオは、艶を含んだ声で彼女の名を呼ぶ。

初めて味わう彼女の雪肌は、甘く、冷たく、極上の舌触りだ。

加えて、薄衣ごしに触れるつららの身体の柔らかさに、身体の中に熱が溜まっていく。

「あ、ダメ、リクオ様・・・!」

つららは、力の入らない手でリクオの肩を押し返していた。

「はぁ・・・・」

リクオは熱い息を溢してつららの首筋から離れた。

これ以上したら、まずい。

完全に止まらなくなる。

リクオは主張し始めた自分自身を自覚しはじめて、つららに当たらないよう、さりげなく腰を引いた。

快楽を求めて堕ちそうになる理性を繋ぎ止め、乱れたつららの寝間着をそっと直した。

つきあかりの下、見下ろすつららの顔は真っ赤に染まり、目はとろりと潤み、なんとも色っぽい。

「リクオ様。」

「つらら。」

「明日、私は貴方のものになります。」

つららは潤んだ目を細めて言った。

「ああ。」

リクオは嬉しそうに微笑んだ。

「身も、心も、貴方のものです。」

つららはリクオの頬に自分の手の平を伸ばした。

「・・・・ああ。」

リクオはつららの冷たくて心地よい手の平の感触に目を閉じた。

なんと、嬉しい言葉だろうか。

プロポーズしてから、一気にここまでこぎ着け、強引に進めてきたが・・・・つららからハッキリと気持ちを聞いたのは初めてだった。

「・・・・愛してます。」

つららの涙で潤んだ瞳を見つめ返し、リクオはじんわりとした熱が心を満たすのを感じた。

「俺も、愛してる。」

リクオは微笑んで、ひんやりとしたつららの頬を両手で包み込んだ。

つららは頬を包むリクオの手に自分の手を重ね、嬉しそうに笑った。

「今日は、ここまでにしといてやるよ。」

リクオはニヤリと笑って、つららを抱き上げた。

部屋に入り、つららが用意したらしい布団に彼女を降ろし、自分も潜り込む。

リクオはつららの背中に腕を回すと、耳元で囁いた。



「明日は、寝かさねえから。」



ビクリと身体を震わせたつららは、真っ赤な顔で恨みがましそうにリクオを見上げた。



「・・・ッ、今夜も眠れそうにないですっ・・・」



リクオはくくっと笑った。

「そうだな。」





夜の帳の中、二人分の寝息が聞こえてきたのは、それから随分経ってからだった。





明日は、祝言。

もちろんリクオの宣言通り、つららは寝かせてもらえなかったことは、言うまでもない。


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