ステテテテテ〜

と軽快に廊下を走り去るつららの姿があった

ふと廊下の曲がり角の手前で立ち止まると、そろりとその先を覗う

誰もいないことに安堵して溜息を吐いた

そして何事も無かったように去って行った

つららのこの警戒には実は理由があった

今朝、リクオから『愛の告白』を受け、お互い相思相愛の仲になれた

そしてそのすぐ後、リクオから『約束』の接吻を交わした

その時は、リクオも初めてなのか掠める程度の初々しいものであった

なんとも昼のリクオらしい行為に、こちらも初めての経験だったにも関わらずつららは微笑ましく思っていた





思っていたのだが





しかし数時間たった今は、つららが赤面してしまうほどのものに変わってしまっていた

ある時は柱の影から

またある時は誰もいない部屋へと連れ込まれ

今日一日つららが独りになったのを見計らっているのか、リクオに幾度となく拉致されている

捕まった後は主からの愛情たっぷりの抱擁と接吻

しかも回数を重ねる毎に濃厚なものへと変わっているのは気のせいではないだろう

現に先程もリクオの部屋の前を通った時に捕まり、舌を絡められてしまった





今であれだと将来が不安だわ・・・・





つららは真剣にリクオの将来を心配した

今でこそまだウブな少年の粋を出てはいないが、これから成長し大人になるにつれリクオも色恋沙汰を学んでいく事になるだろう

最近では学校で男女の体の仕組みなどを教えているのだ、昔では考えられない事であったが時代の流れか昨今早熟の若者が多いのも致し方ないと言える

だが、それとこれとは別だ





若にはまだ早過ぎます





大切な大切な若君がどんどん汚れていってしまうようで何だか嫌だった





もう少しもう少し今のままの若でいてください





つららは祈るような気持ちで胸中で呟くのであった


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