つららはそこまで言うと急に俯いてしまった

心なしか頬が赤く染まっている

「?」

リクオは意味が分からないといった様子で首を傾げながらつららを見ていた

その視線に居た堪れなくなったつららがとうとう観念して告白しだした

「だって、だって・・・・分からないんですもの」

恥ずかしそうに視線を落としながら呟くように告げた内容にリクオはあっけにとられた

「分からないって?」

「ええ、分からないんです。だってだって私・・・・」



したことないんですもの!



言ってつららは、かぁぁっと顔を真っ赤にして俯いてしまった

「へ?したことないって??」

「うう、私まだ未熟者ですから・・・他の雪女達のように”口吸い”とかしたことないんです」

ううう、と人差し指同士をくっつけていじけモードに入る

そんなつららをまじまじと見ていたリクオは

「じゃあどうなるか試してみよっか?」

リクオの言葉につららはがばっと顔を上げた

「な、ななな何を言ってるんですか?」

「ん?何って口吸いしよって」

「だ、ダメですダメに決まっているでしょう!!」

「なんで?」

「な、なんでって雪女と口吸いすることがどういう事かおわかりじゃないのですか?」



死んじゃうんですよ!



つららが怒りも露に捲くし立てるがリクオはどこ吹く風と言った様で、にこにこと笑顔を向けてくるばかりだった

「大丈夫だよ、つららはそんな事しないから」

何を根拠にそう断言できるのかと、つららはリクオの言葉に憤慨した

「だだだ、ダメです!ダメったらダメえぇぇぇぇ!!」



どんがらがっしゃ〜ん



つららはリクオを盛大に突き飛ばし一目散に逃げて行ってしまった

一方リクオはと言うと――

つららに思い切り突き飛ばされ、側にあった座卓ごと引っ繰り返りその下敷きになったにも関わらず、掠り傷ひとつ負わなかった

しかも、「よいしょ」と何事もなかったかのように引っ繰り返った座卓を元に戻し、やれやれと言いながらその場に座ると何やら考え込みだした

暫くの間考えていたリクオは「よし」と一人頷くと



「昼がダメなら夜で試してみよう」と呟いていた






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