つららが庭掃除をしていると、ドンと腰の辺りに何かがぶつかって来た
「あ、若」
勢い良くつららに抱き付いて来た主を認め振り返りながら優しく微笑む
「ねぇ〜ねぇ〜雪女」
「なんですか?」
つららの腰の辺りにすりすりと顔を摺り寄せながらリクオは上目遣いでつららを呼んだ
つららはいささか緊張しながら返事をした


まさかまたあの時のような質問かしら?


以前リクオはつららにとんでもない内容を質問してきたのだ
あの時は返答に困ったがなんとか誤魔化せたので良かったのだが・・・


まさかあの続きじゃないでしょうね?


つららは心の中でリクオの質問の内容を想像し知らず頬を染めていた
しかし、リクオの口から出た言葉は意外なものだった


「ねえ、キスって何?」


際どい質問を想像していたつららは拍子抜けした
「え?」と間抜けな声を上げてしまっている
「雪女は知らないの?」
リクオは首を傾げながら少々残念そうに聞いてきた
「あ、いえ・・・知らない訳ではないですよ」
思わず言ってしまった
あ、と思った時には既に遅く、リクオが瞳を輝かせて「教えて!」と身を乗り出して聞いてきていた
しまったと思った
ここで知らぬ振りをしていればそこで話は終わった筈なのに・・・


でもまあ・・・その上の事を知っていてこちらの事を知らないのもおかしいわよねぇ


つららは内心でそんな事を考えながら恥ずかしさを隠すように頬を掻いた
というかどこでそんな事を知ったのだろうと疑問に思いリクオに訊ねてみる
するとリクオの答えは意外なもので――
「首無しと毛倡妓が言ってた」
こんな所でいきなりしないでって、毛倡妓はなんか怒ってたみたいだったよ、と付け足してくる


あいつら、なんて事をリクオ様の目の前で言ってるのよ!


色ボケカップルめ痴話喧嘩するなら他でやれ、と心の中で毒吐く
内心憤慨するつららはふと期待に満ちた視線に気づいた
「あ・・・えと」
リクオの視線が痛い
つららの答えを今か今かと待ちわびているようだ
つららは内心で溜息を吐くと覚悟を決めた
「若、キスというのは男女が行う確認行為でございます」
「確認?」
「はい、好き合った男女がお互いの気持ちを確かめ合うのです」
「ふ〜ん」
今回もまたリクオはつららの説明に納得したように頷いてくれた
つららは上手く説明できたとほっと息を吐く
しかし、次の瞬間つららは身構えた


も、もしやこの前のように!?


以前せっくすについて説明した時、リクオは事もあろうか「雪女とするんだ!」と爆弾発言をしていた
今回もまたあの時のようになるのかと内心焦る
しかし
リクオは「そうなんだ」と一言呟くと、つららに「ありがと雪女〜」と手を振りながら去って行ってしまった
「あれ?」
「つららとキスする〜」と騒いでくれると思っていたつららは拍子抜けし少しばかり残念だった


リクオ様は純粋に疑問に思っただけなのよね・・・


そう自身を納得させると、庭掃除を再開した


※続きがあります(笑)
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