「リクオ様、私やりました!」
うららかな春の日差しが零れ落ちる中庭で
河童と戯れていた夫に向かって妻が放った突然の言葉
その言葉に夫であるリクオは内心ガッツポーズをしながら歓喜するのであった
「本当に大丈夫なの?」
湯けむりが立ち込める奴良家の大浴場
そこにタオル一枚を腰に巻いたリクオが、心配そうな顔で尋ねる姿があった
リクオが心配そうに見つめるそこには――
これまたバスタオル一枚を体に巻きつけた、つららの姿があった
「はい、大丈夫です」
つららはそう言うと、はらり、と体に巻いたタオルを脱ぎ捨てた
夫の眼前に晒される妻の裸体
幾度と無く見たはずのその体に、リクオは思わず生唾を飲み込んだ
ちゃぷん
つららのあられもない姿にリクオが釘付けになっていると
徐につららの片足が、熱い湯気の昇る湯船の中に入った
「あっ!」
突然の妻の行動にリクオは思わず声を上げる
しかし
はらはらと不安そうに見つめるリクオの心配を他所に、つららの足はどんどん湯船の中へと沈んでいった
そして、両足を湯船の中に入れたつららは、くるりとリクオに向き直ると――
にこり
「ね、言った通りでしょ」
恥ずかしそうに胸元を隠しながら、極上の笑顔でそう言ってきたのであった
「あ……ふ」
ちゃぷちゃぷと揺れる湯面
「はっ はっ はっ」
荒い息遣い
湯気の立ち込めるその大浴場で
リクオとつららは重なり合っていた
つららは冷たいタイルに上半身を預け
その浮いた腰にはリクオの腰が激しく打ち付けている
大きく開いた足は時折激しくつっぱり
リクオの見下ろす小ぶりな乳房がその律動に合わせて揺れていた
その誘うような動きにリクオはかぶりつく
「ああ!」
ちぅ
と吸い付かれるその刺激に、つららは背を仰け反らせて喘いだ
十分敏感になった全身はどこを刺激しても面白いように反応する
リクオはつららの腰を掴むと、さらに激しく己の腰を打ち付けるのであった
「リクオ様、私やりました!」
「何を?」
昼間、突然妻が言ってきた言葉に、リクオは首を傾げながら聞き返した
「はい、私特訓をしたおかげで熱い湯船に入れるようになったんです!」
「え、本当?ていうか、いつの間に特訓してたの?」
両腕を上げ瞳をキラキラさせてそう答えてきた妻に、リクオは文字通り驚いた
そして思わずそんなどうでも良い質問をしてしまった
「はい、その……リクオ様には内緒でこっそりと……」
つららはそんなリクオの質問に恥ずかしそうに答えると、口元を袖で隠しもじもじとし始め
そして――
「その、それであの、リクオ様……その……い、一緒にお風呂を……」
「うんいいよ」
恥ずかしそうに言い淀むつららの言葉を瞬時に理解したリクオは、もちろん、と即答するのであった
というのが昼間の話で
さっそくお風呂へ行こうと真昼間にも関わらず、つららを連れて大浴場へとやってきたのが先ほど
リクオはいそいそと服を脱ぎ捨てると、つららの背を押して浴場へと向かい
つららが熱い湯の中でも大丈夫な事を確認すると、仲良く湯へと浸かった
そして数分もしない内につららを抱き締めてきたのである
まあ、そこはそれ
お互い夫婦なのであるからリクオの行動にはなんの問題も無いわけで
また妻の方も少なからず期待していたのか、鼻息荒く抱きついてきた夫を素直に受け入れたのだった
そして可愛らしく頬を染めながら自分を見上げる妻に、リクオの理性も一瞬のうちに吹き飛んでしまったのは言わずもがな
つららを押し倒し、唇を奪い
『仲良く一緒にお風呂に入ろう』という目的から『少し早い夜の営み』へと変更したのだった
ちゅっちゅっと啄ばむような口づけを繰り返す
優しい口への愛撫はいつしか顎のラインを辿り、鎖骨を甘噛みし、つんと硬くなったその頂きを吸い上げると、へそを通ってその割れ目へと舌先を侵入させてきた
ぴちゃぴちゃと音を立てながらその割れ目を辿る
舌で押し開き十分に嘗め回した後、ゆっくりと上へと移動していく
そしてその先端に小さな突起を見つけると、舌先でちろちろと刺激し始めた
「んぁあっ!!」
途端つららから一際大きな嬌声が聞こえてくる
リクオから与えられる愛撫に、声を出さない様に堪えていたつららも、その強い刺激に思わず声が漏れてしまった
恥ずかしそうに頬を染めると、声を出すまいと自身の手で口を塞いだ
それをちらりと盗み見ながらリクオは舌の動きを更に早めた
ぴちゃぴちゃと激しく響く水音
広い空間でその音は更に反響しつららの鼓膜に届く
躰も視界も聴覚も、リクオの愛撫によって侵されていった
中心を攻めるリクオの姿をつららは虚ろな瞳で見下ろすと
リクオも見せ付けるようにその割れ目を指で押し開き、つららから良く見えるように舌を伸ばして見せた
ぺろりと全体を舐め上げてやれば、つららから更なる嬌声が上がる
執拗に秘芯をしゃぶり
舌先をその入り口へと挿し込み掻き回す
そして、今度は指で以ってそこを愛撫し始めた
舌よりも強いその刺激に、つららは呻くような声を上げた
ぐちゅぐちゅと掻き乱す中指につららの意識が集中していく
何度も注挿を繰り返し柔らかくなったそこへ更に2本目の指が入ってきた
その圧迫につららは首を仰け反らせる
まだまだこれから、というようにリクオは口元に笑みを作ると、激しくつららの中を擦り始めた
指を激しく回転させたり
指を開いて中を押し広げるように擦ったり
折り曲げて一点を激しく攻めたり
ありとあらゆる方法でつららを絶頂へと導いていく
そして――
つららが絶頂へと逝く寸前
リクオは徐に指を抜き取ると、今度はそこへ張り詰めた自身をねじ込んできた
「あああああ」
突然入ってきたその太い塊に、つららは目を見開いて背を仰け反らせる
ビクン、ビクンと足がつっぱり痙攣する
軽い絶頂を迎えたつららは、中を激しく収縮させながらリクオ自身を受け入れていった
己に吸い付くその肉壁にリクオも眉を歪ませて堪える
夫婦としてつららの躰を隅々まで知り尽くしたリクオは、つららの喜ぶ方法を良く熟知していた
つららはこうやってされるのが好きだ
本人は嫌だと言っているが躰は正直である
いやいやと顔を左右に振りながら顔を真っ赤に染めるつららを見下ろしながらリクオはにやりと笑った
今もつららの中はリクオを離すまいと必死になって収縮を繰り返している
リクオを奥へ奥へと誘おうとしている
その気持ちの良い刺激に耐えながら、リクオはゆっくりと腰を動かし始めた
「つらら……」
いつしか激しく腰を打ち付けていたリクオの体勢は変わり
己の上につららを跨らせて腰を振らせていた
そして妻を見上げながらリクオが声をかけてきた
「な、なんですか?」
つららは浅い息を繰り返しながら、余裕の無い表情でリクオを見下ろす
ぐちゅぐちゅと音を立てながら慣れない動作でリクオの腹の上で腰を上下に動かすつららは欲情的だった
突き上げられる刺激に眉を歪ませながら、それでも夫の言葉に耳を傾ける健気な妻に
リクオは息を弾ませながらにこりと笑いかけながらこう言ってきた
「ねぇつらら、そろそろ僕たちも……」
子供作ろうか?
にこにこと屈託無い笑顔を向けて言ってきた夫の言葉に妻の動きが止まった
「え?リクオ様本気ですか?」
驚いて見下ろす妻にリクオは「うん」と頷く
結婚当初
「暫くの間は二人っきりでいたいな」
というリクオの言葉につららは素直に従っていた
そしていつしか時は経ち
気がついたら結婚ウン十年目となっていた
「そろそろ子供が欲しいわ」
と、近頃思い始めていたつららには願っても無い申し出で
「はい」
つららは夫の言葉に嬉しそうに二つ返事で頷いた
その返事にリクオはニヤリと口角を上げて笑ってきた
妻は夫のその笑顔に、さあっと顔色を変える
この笑顔はつららにとってよくない事が起こる前兆なのである
それを長年の経験でようやく気付いたつららは、無意識の内にリクオから離れようとした
が……
「おっと、つららどこ行くの?まだ終わってないよ」
「う……リクオ様」
リクオはがしりとつららの腰に腕を回すとつららを腹に乗せたまま起き上がった
そのため更に結合が深まる
その刺激に少しだけ顔を歪ませながらつららは夫を見下ろした
見下ろした夫の瞳はキラキラと輝いている
そう
それはまるで遠い昔に何度も見た悪戯小僧の瞳の如く
その表情につららは「ひぇっ」と悲鳴を上げる
しかしリクオの拘束は強くびくともしない
リクオは笑顔のまま、ごろりと体勢を逆転させると、つららの足を肩にかけさらに奥へと腰を埋めた
「ああ」
子宮の入り口を刺激するその快感に、つららは堪らず甘い声を漏らす
開始される律動
激しく湯を弾きながら腰を打ちつける
「あっあっあっ、リクオ様……」
「つらら、今日はいっぱいしようね、何回出そうかなぁ」
いつもよりも激しい突きに、つららの瞳は虚ろになっていく
焦点の合わない瞳で大浴場の明かり窓を見上げると
すでにその空は漆黒の闇へと塗りかえられようとしていた
だんだんと色を濃くしていく空
そして
己を組み敷き激しく律動を繰り返す夫の姿もまた変化していった
茶色い短髪から長い銀髪へ
くりくりと円らな黒い瞳から切れ長の紅い瞳へ
がらりと妖怪の姿へ変貌した夫はその体格も変わっていた
つららがすっぽりと隠れてしまうほどの長身
小さくなったつららを逞しい腕で抱え上げ向かい合う
激しく腰を突き上げながらつららの中を抉る
つららに埋め込まれた質量も増し、益々つららの嬌声も大きくなった
「あっ あっ あっ あっ」
「つらら」
己の腕の中で喘ぐ妻に百鬼の主の姿となった夫は優しく囁きかける
低い低い蕩けるような甘い声で
「俺達の子供……沢山つくろうな」
そして妖艶に笑うと愛しい妻を優しく抱き締め、意識が無くなるまで攻め続けるのであった
おまけ
「風呂……いつになったら入れるんだろうな」
「ああ」
「そうね」
「そうだな……」
リクオとつららが大浴場を使っている間
居間では、二人が出てくるのをじっと待つ健気な側近達の姿があったとか
了
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