全六話(6/6)
さわさわと暖かい風が頬を撫でていく
頭に触れる優しい感触に
ふっと笑みが漏れる
やっと手に入れた
この温もり
頬の下に感じる熱は冷たいけれど
でも心の中はとても温かくて
なんて心地良いんだろう
髪を梳くその手を捕まえて
自分の口元に持っていき
そっと口付けた
「くすぐったいですよリクオ様」
くすくすと笑いながら言ってくるその声に
僕は目を細めた
ああ
僕は今幸せなんだ
彼女の甘い匂いを胸いっぱいに吸い込む
彼女の膝の上で昼寝をしていた僕は
ごろりと寝返る
下から見上げる彼女の頬をそっと掌で撫でると
彼女は幸せそうに微笑んでくれた
「好きだよ」
「私もです」
打てば響く鐘のように
当たり前のように帰ってくる言葉
その言葉に僕の心は嬉しさで震える
嬉しい
うれしい
ウレシイ
と
両手を広げて踊り狂う
気づけて良かった
伝えて良かったと
ココロが歓喜している
もう僕は迷わない
もう僕は恐がらない
彼女が傍に居てくれるから
彼女を守らせてくれるから
そう言って微笑む僕に
でも彼女は更に笑ってこう言った
「でもたまには私にも守らせてくださいね」
と
そんなの
もう守られているよ
いつだって
今だって
こうして傍にいてくれるだけで
僕の心はこんなにも
穏やかだ
ああ
これが
シアワセなんだね
やっと手に入れたソレの名は・・・・・
幸福
了
お付き合いありがとうございましたm(_ _)mぺこり
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