走った
走った
息が詰まるほど
意識が朦朧とするほど
もうダメだ
そう思ったとき
何かが視界に写った
目を凝らして見てみると
遠くの方に何かがいた
誰かが立っていた
自分は最後の力を振り絞って夢中で駆け出した
いよいよ足がいう事をきかなくなり
その場に崩れ落ちそうになった
でも
目の前にいるその人を
あと少しで届きそうなその手を
掴まなきゃ
自分は夢中になって手を差し伸べた
薄れ行く視界の中で
その人も手を差し伸べてくれたのが見えた
がしり
力強い手で引き上げられる
その心地よい浮遊感に自分は自然と笑みが漏れていた
走って走って
息が続かなくなり
もうダメだ
そう思ったときにきっと見えてくるものがある
きっと
きっと
大事なものは見つかる
きっと
きっと
手を差し伸べてくれる
(続く)
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