「みんな、明日はリクオ様の誕生日だから大きなケーキを作ってあげたいの」
午前零時過ぎ、雪女は仲間の妖怪たちを呼んで手を合わせて頼んできた
「おお、そうかわかった」
「任せてくれ」
「了解♪」
その言葉に仲間達は快く頷く
「ふふ、よろしくね」
そして雪女は嬉しそうに頷くといそいそと台所へと向かったのだった
仲間に頼んで雪女が台所に篭ったのが昨夜
そして格闘の末、出来上がったのがこのケーキだというのだ
リクオは「黙っていて申し訳ありませんでした」と頭を下げる雪女をぼんやりと眺めていた
そしてふと、数日前の遣り取りを思い出す
「ねえ、雪女」
「どうしました若?」
「今度、僕の誕生日でしょ?僕ね僕ね、こ〜んな大きなケーキが食べたい!」
「ケーキですか?わかりましたこの雪女、腕によりをかけておっきなケーキを作りますね!!」
「うん、約束だよ!」
「はい約束です」
そう言って雪女と指きりげんまんをしたのは確か一週間前
その約束を覚えていた彼女は本当に作ってくれたのだ
しかもリクオが想像していた以上に大きなケーキを
リクオは、いつの間にか遠くで「誕生日パーティー始めますよ〜」と仲間達に向かって叫んでいる雪女を見つめた
凍っていた心がいつの間にか溶けてぽかぽか暖かくなっていた
曲がっていたへそはいつの間にか元に戻っている
なんだか照れ臭くて
でもすごく嬉しくて
リクオは居ても経ってもいられなくなり思わず駆け出した
「雪女、だ〜〜い好き!」
今日一番張り切って自分の誕生日の準備をしてくれた雪女の背中に
リクオは本日最高の笑顔で飛びつくのだった
9月23日
あなたと出会えたこの日を祝して
Happy Birthday to Rikuosama
了
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