そして――
「うわぁ!!」
目の前に置かれたそれを見て僕は不覚にも声を上げてしまった
雪女に連れて行かれたのはあの大広間だった
大きなテーブルが部屋の前に置かれていて
しかもその上には
巨大なケーキ
でん、と置かれたその特大ケーキはななと3段重ねになっている
しかも白やピンクの生クリームで綺麗にデコレーションされていて
真っ赤な苺が僕に向かって「食べて」と囁いていた
僕は思わずその美味しそうなケーキにごくりと喉が鳴ってしまった
「リクオ様凄いでしょ〜♪」
背後から嬉しそうな声が聞こえてきて振り向けば雪女が笑顔で僕を見下ろしていた
「こ、これって?」
「もちろんリクオ様のバースデーケーキです!」
「え?本当!?」
「がんばりました!」
僕の質問に、雪女は力強く頷くと誇らしげにえっへんと胸を張って見せた
良く見ると雪女の顔や頭には所々生クリームが点いている
「もしかしてこれ、雪女が一人で作ったの?」
「はい〜〜♪」
もちろんですとも、となんとも嬉しそうに頷く雪女
それを聞いた僕も何だかくすぐったいような嬉しい気持ちに自然と頬が緩む
「へ、へへ」
「うふふ」
お互い顔を見合わせて笑い合っていると、下僕の妖怪達がぞろぞろと部屋へと入ってきた
「お、すごいなコレ」
「いや〜本当に作っちゃったのね〜あんた」
「ほぉ、これはその、何と言うか」
「でかいね」
「ああ、でかいな」
「リクオ様、一人で食べ切れるのかな?」
等など、下僕達は口々に感想を漏らしていく
そして
「いや〜一時はどうなるかと思ったぞ雪女」
やれやれと盛大な溜息と共にそう言ってきたのは首無だった
「まったくリクオ様には内緒にしておきたいと言うから皆、はぐらかすのに手を焼いたぞ」
「ああ、そうだなリクオ様は賢いから、すぐ嘘を見抜かれてしまうからな」
首無の言葉に近くにいた妖怪達もうんうんと頷いていた
「え、どういう事?」
下僕達の言葉にリクオは目をまん丸にして隣の雪女を見上げた
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