クリスマスパーティーと書いて酒宴と読む奴良家では
夜半を過ぎたにもかかわらず終わるどころか、これからが本番だと言わんばかりに更に盛り上がりを見せていた
そんな喧騒の中、月見酒に洒落込もうとする男がここに一人
夜の姿へと変化したリクオが、縁側で煙管を弄びながら待ち人を静かに待っていた
「お待たせしました」
暫くすると、つららが熱燗の入ったお盆を持ってやってきた
「おう、悪いな」
リクオは待ち人であったつららを見上げながら、にやりと口角を上げる
そっとリクオの横に盆を置きながら、つららは忙しなく身じろいでいた
どうやら足元が気になるらしい
少し恥ずかしそうに俯くつららを、にやにやと見上げながらリクオは感嘆の声を漏らした
「似合うな」
「もう、からかわないで下さい」
リクオの言葉につららは頬を赤く染めながら抗議する
「いや、本当だって」
そんなつららにリクオは苦笑しながら言った
「ううう、恥ずかしい」
つららは堪らないとばかりに両手で顔を覆うと、恥ずかしそうにその場に座り込んでしまった
つららが何故ここまで恥ずかしがっているのかというと
その原因はつららの今の姿にあった――
真っ赤なワンピース
真っ赤な帽子
昼間と同じようにサンタの格好をしているだけなのだが・・・・
しかし、その素材もデザインも昼間のそれとは大きく違っていた
限界ギリギリまでしかないスカートの丈
肩が剥き出しの上半身は胸からしか布が無く、さらに中央はへその辺りまで大胆に開いている
体を包む布地は、胸元や腰のラインを強調するかのように肌にぴったりとくっつき
白く瑞々しい足は今は黒の網タイツで申し訳程度に隠されて(?)いるくらいだった
思わずごきゅりと喉が鳴る
男ならば誰でもそうなってしまうだろう
今のつららは――
本当においしそうだった
我慢できず投げ出されたその白い足をさわりと撫でると、つららは慌てて顔を上げた
「ひゃ、ひゃああ!リクオ様!」
いきなり触られた羞恥に服から露出している肌という肌が赤く色づく
そんな艶かしい反応に、リクオは嬉しそうに目を細めると自身の唇を舐めた
その仕草に、何やら全身をセクハラされているような感覚に見舞われたつららは、慌てて熱燗を持ちリクオに勧めた
もちろん手には厳重に分厚い鍋掴みをはめている
「り、りりりリクオ様、お酌しますお酌!!」
「ん、ああそうだな」
そんなつららにくすりと笑みながら杯を差し出す
そこへ震える手で酒が注がれると、リクオは一気に酒を飲み干しまた杯を差し出してきた
そんな動作を数回繰り返していると、あっという間に酒は無くなってしまった
「あら、もうお酒が・・・取り替えてきますね」
いささか急ピッチ過ぎるのでは?とつららがリクオの身を案じたのだが、酒が無くなっては月見酒にならないと思い、仕方なく酒を取りに向かおうと立ち上がりかけたつららへ、リクオの制止の声がかかった
「いや、酒はもういい」
「え? きゃっ!」
言うや否や、リクオはつららの腕をぐいっと引っ張り自分の元へ引き寄せると、腕の中へ閉じ込めてしまった
「ひゃ、ひゃあぁぁぁぁ!リクオ様何を!?」
腕の中に拘束されてしまったつららは顔を真っ赤にさせてリクオの中で暴れまくる
そんなつららにくすくすと笑みを零しながら、動けないようにぎゅうっと強く抱きしめてやる
更に密着したつららはパニックになり、黄金の螺旋の瞳をぐるぐる回しながら「ひええ」と小さく悲鳴を上げた
頬に押し付けられるリクオの厚い胸板
背中に回った腕は力強く自分を抱きしめ熱い
冷たい太ももにはリクオの足が逃がさないとばかりに絡み付いていた
剥き出しの肩から足からリクオの熱が伝わってきて、つららはのぼせたような感覚に捉われた
はあ、はあ、と窒息寸前の魚のように、リクオの情熱にのぼせたつららはリクオの腕の中でぐったりとする
その姿を見下ろしていたリクオはにやりと口元を歪ませると、そろそろ良いかと行動に走った
そっとつららの耳元へ熱い吐息を混ぜながら囁いてやる
「せっかくのクリスマスだ、今夜は雪が見たいんでな」
つらら
と甘く囁くと、リクオの手がするするとつららの体を撫で回していった
「ひゃあっ!」
リクオの手の動きに、つららの沸点していた頭でも気づいた
これから何をされるのかを
「やっぱりクリスマスは雪だな」
にやにやと嬉しそうに囁きながら、リクオは一晩中つららを触りまくっていたそうな
え?どんな風にって?
それは二人だけの秘密です・・・・
メリークリスマス
今宵みな様にも素敵なクリスマスが訪れますように
了
おまけ→
[戻る] [記念文トップ] [次へ]