「ただいま〜」

夕食には少し早い時間、リクオが清十字探偵団のクリスマス会から帰ってきた

「お帰りなさいませ〜」

「あ、若お帰りなさい」

「クリスマス会は楽しかったですかい」

廊下で遊んでいた小妖怪達が、わらわらと集まってきて嬉しそうにリクオを迎える

そんな無邪気な小妖怪たちに、にこりと笑みを零しながら「うん、楽しかったよ」と言いながら家に上がり自室へと通じる廊下を歩いて行った

その途中で、聞き慣れた明るい元気な声が聞こえてきた

「若!お帰りなさいませ!」

ステテテテと嬉しそうに、にぱっと笑顔を作りながらこちらへ走ってくるのは、リクオの側近であり世話係でもあるつららだった

何故か街でも良く見かけた真っ赤なワンピースと三角帽子を身に付け、肩には巨大な白い袋を抱えていた

「ど、どうしたのその格好?」

「へ?わきゃあ!!」

「つらら!」

リクオが驚いてつららの姿を指摘したとき、廊下を走っていたつららは案の定、何も無い所でつまずいてしまった

手には巨大な袋、受身を取ろうにも咄嗟の事で手が出ない

このままだと顔面直撃する!とつららは覚悟を決めて目をきつく閉じた



とすん





次の瞬間、体に感じる浮遊感と温かい感触

「ふ〜、まったくお前は・・・・」

そして、頭上から聞こえてくる安堵の声

「あ、り、リクオ様」

何が起こったのか瞬時に理解してしまったつららは、頬を赤らめて目の前の温もりを見上げた

そこには、眉根を下げてしょうがないな〜と苦笑するリクオの顔があった

「す、すすすすみません!!」

つららは己の失態と、リクオに抱き締められているという恥ずかしさで、慌ててリクオから離れた

そんなつららを少しばかり惜しく思いながらも、リクオは抱き留めていた腕を離した

「まったくつららは、相変わらずドジなんだから」

気をつけるんだよ、と言いながら優しい手つきでつららの頭を撫でる

「はい・・・申し訳ありません」

とシュンと項垂れるつららに苦笑を零すと、リクオは先ほど疑問に思ったことを尋ねてみた

「それより、何でそんな格好をしてるの?」

「あ、これですか?今回は私がプレゼント配りのくじに当たったんですよ〜」

似合いますか?とワンピースの裾を持ってくるりと回って見せた

ふわりと揺れる際どいラインのそのスカートの丈に、思わずドキリとしてしまったが、それを億尾にも出さずにリクオは爽やかに言ってのけた

「うん、すごく似合ってるよつらら」

うん すごく とっても 可愛い・・・・まるで



食べちゃいたいくらいに



嬉しそうにはにかむつららを目を細めて見つめながら、リクオは心の中でそう思っていた


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