つららの首筋を食い入るように見ながらぎりっと歯軋りをする
「え、やだ何これ?」
氷の破片で己の首を見たつららが青褪め声を上げる
「つらら」
「ち、ちちち違うんですリクオ様、こ、これはその・・・未遂と言うか、目覚めたらあの男が首に・・・て、そ、それ以上は何も無いです、本当ですリクオ様」
な、何言ってるの私ったら、これじゃ言い訳みたいじゃない〜
リクオ様と私は主従関係以外の何ものでもないのに、と一人で慌てる自分が恥ずかしくなり俯いてしまった
そんなつららに気づいているのかいないのか、リクオは先程からつららの首を見たまま動かない
「あ、あの・・・」
何も言ってこないリクオに呆れられてしまったと思ったつららは恐る恐る声をかけてみた
すると、そっとリクオの掌がつららの首筋に触れてきた
驚いたつららはリクオの顔を見上げる
そこには――眉間に皺を寄せ、不機嫌そうなリクオの顔があった
リクオは無言のまま、つららの首筋にある赤い跡を指先で触れる
「こんなもん、付けられてんじゃねーよ」
怒ったようにそう言うと、噛み付くようにつららの首筋に吸い付いた
「あ、若」
驚いたつららが逃げようとしたが、腰に手を回して逃げられないようにする
ちゅうっと音を立てて強く吸い付けば、つららの口から甘い吐息が漏れた
「あ、ああ・・・わ・・・か」
その声にざわりと背筋が粟立ち、体の中心が熱を持ち始める
このまま押し倒してしまおうか?
不埒な考えが頭を過ぎったが、側近達がいつ来るかわからない状態でこれは不味いと思ったリクオは名残惜しそうにつららの首から唇を離した
離れる寸前、愛おしそうに己のつけた赤い印をぺろりと舐めると
「ひゃあっ」
と、つららの口から可愛い声が上がった
「まったく・・・お前は隙があってしょうがねえな」
自重しろ、とリクオはそう言うと真っ赤になって首筋を押さえるつららの頭をぽんっと撫でながら苦笑した
「若?」
リクオの行動の意味も言葉の意味も判らないのであろう、つららは不思議そうに首を傾げる
そんなつららに更に眉根を下げて苦笑すると、リクオは心の中で呟いた
たく、この側近は・・・・そろそろはっきりさせねえといけねえのかもな
自由にさせるとすぐ見知らぬ誰かに拉致されやすいこの危なっかしい側近に、そろそろ自分と言う札でも付けておいてやろうかと真剣に考え始める
先ほどつららに付けた紅い『迷子札』をちらりと盗み見ながらリクオはあれこれと思考を巡らす
まあ、とりあえずは帰ったらお仕置きが先だがな
今だリクオの言葉に首を傾げている愛しい側近を見ながらリクオはにやりと笑った
愛しい女に所有の印を――『迷子札』は愛情の証?
了
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