ねえ、こっちを見ていてよ



リクオ4才



幼稚園から帰ったぼくは毎日恒例の鬼ごっこをするんだ

もちろん一緒に遊ぶのは家にいる小妖怪たち

そしてもちろん、お気に入りの側近も一緒



今日もぼくは幼稚園かばんを玄関に投げ捨てると一目散に庭へと駆け出していった

「みんな〜遊ぶよ〜!」

そう叫べばわらわらと家の屋根や軒下から小妖怪たちが集まってくる



あれ?



ぼくは集まってきた小妖怪たちを他所にキョロキョロと辺りを見回した



いない



ぼくは見慣れた人物が側に居ないことに首を傾げた



いつもならすぐ飛んで来るのに



そういえば、ぼくが帰ってきたとき迎えに来ていなかった



その事実に、ぼくはなんだか面白くなくてぷくーと頬を膨らませると

「先に遊んでて!」

と集まった小妖怪たちにそう言って一目散に駆け出した

途中で小妖怪たちが何か言っていたけどそれどころじゃない!

あいつがいないんだ

あいつが・・・・



ぼくの



ぼくの



「雪女!」



走って走ってようやく見慣れた白い着物を見つけた



でも・・・・



ぼくはそこで立ち止まってしまった



まただ



また・・・・



アイツとしゃべってる



ぼくの視線の向こう――

首無と雪女が並んで立っていた

何の話をしているのか、ここからじゃ聞こえなかったけど

首無と話をする雪女は楽しそうに笑ってた

枝垂桜の木の下で、お互いに向き合う姿は何かで読んだ王子様とお姫様みたいで・・・・

ぼくは何だか声をかける気になれなくて、二人に背を向けるとそのまま庭へと走って戻った


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