「え、青と黒も知らないの?雪女も教えてくれないし・・・」

リクオは青田坊と黒田坊の言葉にシュンと項垂れてしまった

「ほお、雪女が知らない、と?」

「ほほう、そうか〜知らないか〜」



じーーーーーー



「な、なによ?」

つららは二人の視線に袖で口元を隠しながら後退った

「ふむ・・・”女”なのに知らないのか・・・なあ黒?」

「そうだな、知らないわけはないであろう?”女”なんだからなぁ?」



にこにこにこにこ



爽やか過ぎるほど爽やかな笑顔を向けてくる青田坊と黒田坊に、一瞬殺意が芽生えそうになった

が、つららの畏れにびくりと竦み上がったリクオを見て、慌てて平常心を取り戻す

「雪女、やっぱり知ってるの?」

さっきの余韻が残っているのか、リクオは恐る恐ると言った風に上目遣いで聞いてきた

つららはその視線に「うっ」と詰まる

その様子を見ていた青田坊と黒田坊は不適な笑みを称えながらリクオを応援するかのように言ってきた

「はっはっはっ、もちろん知ってるだろうなぁ〜”女”だから」

「そうそう、”女”だから」

まるで、知らないと言えば”女”ではないと決定されてしまいそうな二人の側近たちの言葉に、つららはぎりっと歯軋りをした



おのれ、このエロ田坊ども・・・後で覚えてらっしゃい!!



つららがそう胸中で呟いているのを知ってか知らずか、青田坊と黒田坊はさらに畳み掛けるように言ってきた

「リクオ様、雪女は”女”だから子供を産めますぞ」

「ほんと?」

「左様、”女”だから当たり前ですぞ、リクオ様」

「ほんと?ねえ、本当なの雪女!?」

ずいっとつららの目の前に顔を近づけて、その大きな瞳で覗き込んでくる

キラキラと好奇心いっぱいの瞳で見つめられたつららは、更に「ううっ」と口元を押さえながら、恥ずかしそうに視線を逸らした

「うう、知っていますけど・・・言えません」

「え、どうして?なんで??」

と意味がわからないと首を傾げて聞いてくるリクオに、つららは益々もって困り果てた

そこへ、またしても青田坊と黒田坊が入ってきた

「そうそう、言えないなら良い手がありますぞ!」

「え、本当?」

黒の言葉にリクオは、ぱっと顔を輝かせて振り向いた

その途端、青と黒はにやりと厭な笑みを見せたかと思うと――



「「雪女に実践してもらえば・・・・」」



「いい加減にしなさ〜〜い!!」



ぱきーーーーーーーーーーーん



つららの絶叫が木霊する中

二人の側近は巨大な氷付けとなった

そして――



そんな哀れな側近たちをよそに

リクオはつららの膝へとよじ登り、何度もしつこく質問をしていたそうな

「ねえ、雪女〜赤ちゃんはどこから・・・・」

「もう、もう勘弁してくださ〜〜〜〜〜い!!



『赤ちゃんはどうやって産まれて来るの?』

――この真実を彼が知るのはもう少し後の話




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