リクオが引っ張ったことで襟元は着崩れ胸元が危うい位に肌蹴てしまいそうになっている
「す、すすすすみません若〜〜聞きます聞きます!何ですか?何ですか〜〜??」
必死で胸元を隠しながらつららが言うと、リクオは満足そうに頷きつららの顔を覗きこんできた
「ねえ、じゃあコウノトリはどうやってお母さんのお腹の中に赤ちゃん入れたの?」
と、するどいリクオはそう指摘してきた
その言葉につららはぎくり、と肩を震わせる
忘れていました・・・・
以前リクオに説明した言葉を思い出し、つららは冷や汗をだらだら流し頬を引きつらせながらリクオを見下ろした
リクオはつららの返答を今か今かと待っている
「さ、さあ・・・コウノトリに聞いてみないとわかりませんね〜おほ、おほほほほほ」
とりあえずつららは笑って誤魔化した
そんな苦し紛れのつららの答えに、リクオは「ふ〜ん」と納得したようなしてないような曖昧な返事をすると
「じゃあさ、赤ちゃんはどうやって産まれて来るの?」
雪女は知ってるんでしょう?と屈託のない天使の様な笑顔で更に聞いてきた
その質問に、つららの思考は完全にフリーズしてしまった
はい?産まれる・・・赤ちゃんが・・・・て、どうやってって・・・どこからって、えぇぇぇぇぇっ!?
ぼんっと音が出るほど顔を真っ赤にしたつららは「あの」とか「その」とか言いながら、わたわたと狼狽だした
そんなつららの様子にリクオは「どうしたの?」と不思議そうに首を傾げる
その時、リクオの言葉に顔を真っ赤にさせて答えに詰まっているつららの元へ助け舟(?)が現れた
「お、リクオ様こんな所においででしたか?」
「おや、雪女も一緒か?」
丁度、居間の前を通り過ぎようとしていた青田坊と黒田坊が、中にリクオが居ることに気づき声を掛けてきたのだった
「あ、青に黒ただいま〜」
「お帰りなさいませ若」
「がははは、いつも元気そうでなによりですぞ若」
天使のような笑顔を向けて言うリクオに、青田坊も黒田坊も目尻を下げて挨拶を交わす
「あ、そういえば」
とリクオが思いついたとばかりに二人の元へ、テテテと走り寄って行った
物凄く嫌な予感がする・・・・
つららはそんなリクオを見ながら心の中で呟いた
その次の瞬間――
「ねえ、青と黒は知ってる?赤ちゃんがどうやって産まれるのか?」
案の定、リクオがまたしても爆弾発言を投下してしまった
しかも青田坊と黒田坊に・・・・
り、リクオ様ぁぁぁぁぁぁっ!!
つららは内心でひいっと悲鳴を上げて二人の側近を見上げた
案の定、二人の側近たちは――
点になっていた
口をあんぐり開けて、リクオの言った言葉に目を点にさせて、それはもう・・・・たまげていた
そして、数分の沈黙の後――
にやり
二人の男がちらりとお互いに視線を向けた後、笑った
物凄く嫌な笑いだった
何かを企んでいる様な
玩具を見つけたその視線に、つららの背筋に何か冷たいものが流れていった
「いや〜拙者にはわかりませんな〜何せ”男”ですから♪」
「そうそう、わしも”男”だから、子供なんて産めませんしな〜♪」
にやにやにやにや
したり顔の側近たちはリクオの向こう――
つららの顔を見ながらリクオに向かってそう言ってきた
[戻る] [文トップ] [次へ]