「おいおい、大丈夫か?」

ごほごほと咳き込むつららの背中をリクオは慌てた様子で擦ってやる

何度も背中を擦っている内に、リクオはあるモノに気づいた

目の前で揺れるその物体

つららが咳き込む度にぴくんぴくんと忙しなく動く



猫耳



リクオはつららの背中を擦るのも忘れて、食入るようにその猫耳を見つめていた

「きゃっ」

つららは思わず声を上げる

「な、なに?」

「ああ悪い」

リクオは振り返るつららに思わずその手を引っ込めた

「痛かったか?」

心配そうにリクオはつららの顔を覗き見る



つららの頭部に生えた猫耳を見ていた

「だ、大丈夫です!」

その視線に気づいたつららは慌てて猫耳を両手で隠すと後ろを向いてしまった

そんなつららにリクオは少々残念そうにしていたが

「ん?」

今度はその下の方に視線を落とした

リクオの視線の先――



つららの背の更に下

柔らかそうな臀部の辺りからふよりとのびている



尻尾



ほわわわわわん

リクオの相好が崩れた瞬間だった

ぽわ〜んとその柔らかそうな尻尾を見ながらリクオは薄っすらと頬を染め、嬉しそうに瞳を輝かせていた

「ふみ゛っ!」

つららは全身鳥肌が立つような悪寒と軽い痛みに見舞われ、その場で奇声を発して飛び跳ねた

つららが恐る恐る振り向くと――



ほわ〜んとした顔で、つららのお尻から生えた尻尾をムギュムギュしているリクオが居た

「リ、リクオ様・・・・」

つららは現在の己の立場も忘れ、驚愕したままの顔で主の名を呼んだ

「ん?」

つららの声に顔を上げた主の顔はなんともだらしが無い

まるで、子供が初めて見る小動物に夢中になっている様だ

痛いんですけど、というジト目のつららを意に返す様子も無く、リクオはその尻尾と猫耳に夢中になっていた



ふにふに

もふもふ

むぎゅっむぎゅっ



まさに触りたい放題である

さっきまでの艶やかな遣り取りは何処へやら、童心に返ってしまったかのようなリクオの素行振りにつららは懐かしいやら情けないやら、複雑な気持ちでされるがままになっていた



変な悪戯されるよりはこっちの方がましね



つららは心の中でそう諦めると、正座をし暫くの間リクオの好きにさせようと目を閉じた

「ひゃう」

しかしそんな生暖かい雰囲気も束の間、暫くするとつららが突然変な声を上げた

「あ、ひゃあ、リクオ様それは・・・・」

尚も続くつららの悲鳴

突然がっちりと背後から体を拘束され、身動きの取れなくなったつららは、リクオの腕の中でバタバタと暴れていた

リクオは何を思ったのか、背後からつららに抱きつくと、その頭に生えた猫耳をぺろんとひと舐めしてきたのだ

ぞくぞくとするその刺激に、つららは思わず声を上げてしまったという訳なのだが

尚もリクオの攻撃は続いた

つららの反応に気を良くしたのか、はたまた悪戯心が刺激されたのか

リクオは逃げられないつららを良い事に、ぺろぺろと猫耳を舐め続けていた



ぺろりとひと舐めすれば、ふるふると震え

はむっと軽く噛めば、びくびくと痙攣する



面白い♪



リクオはその反応に夢中になっていった







それから小一時間後――



「あ、うふん、リクオ・・・様」

お止めください、と艶の混ざる女の声と

「つらら」

我慢できねえよ、と高ぶる男の声



ざわめく喧騒から少し離れた奥座敷

薄障子を隔てたその中の事情は、この店の店員達によって外へと漏れることは無かったそうな






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