「つらら」

「あ、あ、私なんてことを・・・・」

しまった、と自身の発言に心底慌てているつららに僕は思わず抱きついた

「ひえっ」

「はは、ははは、な〜んだ、なんだ、ふふ、ふふふ」

「あ、あの・・・こ、これは」

抱きついてきた僕に驚きながら、先程の自分の言葉を訂正するかのようにつららが口を開いたのを僕は慌てて制した

「そっか、そっか、よかった、僕もだよ、僕もつららの事が」



大好きだ



そう言って真っ赤に染まったつららの頬にちゅっと口付けすると、つららは開いていた口を噤んでしまった

そして真っ赤な顔をしたまま僕の腕の中で俯いてそれきり何も言わなかった

僕は嬉しさと愛しさでもうぐちゃぐちゃで

でも彼女を離す気なんて絶対なくて

僕は、僕の腕の中で縮こまるつららの体をぎゅうと抱き締めた

「つらら、遅くなってごめん。でももうこれで最後だから、もう気づいたから解ったから嘘なんかじゃないよ、本当に本当に自分の気持ちが解ったんだ」

だから

恥ずかしがる彼女の顔を上向かせ、まっすぐに彼女の瞳を見つめながら僕は嘘偽り無い言葉で彼女を口説いた



「だから、僕と結婚してください」



そう言って恥ずかしそうに笑う僕に、彼女は少しだけ恨めしそうな視線を寄越していたが、その直ぐ後には蕩けるような美しい笑顔で笑ってくれた



ずいぶん遠回りをした

ずいぶん待たせた

たくさん傷ついた

たくさん傷つかせてしまった



だから

だから



これからは一杯一緒に居よう

これからは一杯愛し合おう



誰よりも幸せにするよ

誰よりも幸せにしておくれ



きみで良かった

あなたで良かった



生涯最後の時を迎えるその時まで僕達は一生共にいよう

生涯最後の時を迎えるその時まで私達は一生共にいます



だから

ああだから



いままでの回り道を悔やまないで

いままでの出会いを後悔しないで

これは貴方と自分が出会うための大切な時間だったから



人も妖もみな同じ

心を持った生き物



だからこそ悩み迷い

だからこそ疑い憎しむ

だからこそ愛し合うことができる



彼らの通った道は険しかったけど

彼らの描いた軌跡は決して美しいだけのものじゃなかったけど

でもきっとその先には素敵な出会いが待っているから



だから



恐がらないで

前を向いて歩いて行こう



きっとその先には待っていてくれる人がいるから





おまけ→


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