薄暗くなりかけた帰り道

リクオは先程のつららの行動をまだ気にしていた



つららは一体なんであんな事したんだろう?



校舎を出てからずっと考えていた

だが分らない・・・・



女の子ってやっぱり分んないや



リクオは数歩先を嬉しそうに歩く己の側近を見ながら胸中で呟いた

女の子の考えていることは分らない

特にこの目の前の女の子の事は



いつも何を考えているのか

いつも何を想っているのか



知りたいと思った

でも分らない・・・・

胸の中がムズムズするような感覚に捉われながら、しかしこれだけはちゃんと伝えておこうとリクオは口を開く

「つらら」

「はい!なんでしょう?」

僕が呼ぶと嬉しそうに直ぐ振り向いてくるその笑顔に、僕も微笑みながらこう告げる



「いつも、つららのままで起こしてね」



「へ?え?リクオ様?」

どういう意味ですか?と首を傾げて聞いてくる女の子な側近を、僕は駆け足で追い抜く

「ほら、早くしないと夕飯に遅れるよ!」

「あ、待ってくださいリクオ様!」

先程言った言葉に何故だか頬が熱くなっていくのを感じて、僕は顔を前に向けたままそう言うと、つららの手を掴んで駆け出した

突然手を掴んで駆け出した僕に、つららは驚いた顔をしながら必死に付いて来る

星の瞬き始めた帰り道

手を繋いで家路に急ぐ二人の周りでは

夕餉を伝えるおいしそうな匂いがあちこちの家から漂っていた



ずっとずっと

いつまでも

君が僕を起こしてね






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