「つらら……」
いつしか激しく腰を打ち付けていたリクオの体勢は変わり
己の上につららを跨らせて腰を振らせていた
そして妻を見上げながらリクオが声をかけてきた
「な、なんですか?」
つららは浅い息を繰り返しながら、余裕の無い表情でリクオを見下ろす
ぐちゅぐちゅと音を立てながら慣れない動作でリクオの腹の上で腰を上下に動かすつららは欲情的だった
突き上げられる刺激に眉を歪ませながら、それでも夫の言葉に耳を傾ける健気な妻に
リクオは息を弾ませながらにこりと笑いかけながらこう言ってきた
「ねぇつらら、そろそろ僕たちも……」
子供作ろうか?
にこにこと屈託無い笑顔を向けて言ってきた夫の言葉に妻の動きが止まった
「え?リクオ様本気ですか?」
驚いて見下ろす妻にリクオは「うん」と頷く
結婚当初
「暫くの間は二人っきりでいたいな」
というリクオの言葉につららは素直に従っていた
そしていつしか時は経ち
気がついたら結婚ウン十年目となっていた
「そろそろ子供が欲しいわ」
と、近頃思い始めていたつららには願っても無い申し出で
「はい」
つららは夫の言葉に嬉しそうに二つ返事で頷いた
その返事にリクオはニヤリと口角を上げて笑ってきた
妻は夫のその笑顔に、さあっと顔色を変える
この笑顔はつららにとってよくない事が起こる前兆なのである
それを長年の経験でようやく気付いたつららは、無意識の内にリクオから離れようとした
が……
「おっと、つららどこ行くの?まだ終わってないよ」
「う……リクオ様」
リクオはがしりとつららの腰に腕を回すとつららを腹に乗せたまま起き上がった
そのため更に結合が深まる
その刺激に少しだけ顔を歪ませながらつららは夫を見下ろした
見下ろした夫の瞳はキラキラと輝いている
そう
それはまるで遠い昔に何度も見た悪戯小僧の瞳の如く
その表情につららは「ひぇっ」と悲鳴を上げる
しかしリクオの拘束は強くびくともしない
リクオは笑顔のまま、ごろりと体勢を逆転させると、つららの足を肩にかけさらに奥へと腰を埋めた
「ああ」
子宮の入り口を刺激するその快感に、つららは堪らず甘い声を漏らす
開始される律動
激しく湯を弾きながら腰を打ちつける
「あっあっあっ、リクオ様……」
「つらら、今日はいっぱいしようね、何回出そうかなぁ」
いつもよりも激しい突きに、つららの瞳は虚ろになっていく
焦点の合わない瞳で大浴場の明かり窓を見上げると
すでにその空は漆黒の闇へと塗りかえられようとしていた
だんだんと色を濃くしていく空
そして
己を組み敷き激しく律動を繰り返す夫の姿もまた変化していった
茶色い短髪から長い銀髪へ
くりくりと円らな黒い瞳から切れ長の紅い瞳へ
がらりと妖怪の姿へ変貌した夫はその体格も変わっていた
つららがすっぽりと隠れてしまうほどの長身
小さくなったつららを逞しい腕で抱え上げ向かい合う
激しく腰を突き上げながらつららの中を抉る
つららに埋め込まれた質量も増し、益々つららの嬌声も大きくなった
「あっ あっ あっ あっ」
「つらら」
己の腕の中で喘ぐ妻に百鬼の主の姿となった夫は優しく囁きかける
低い低い蕩けるような甘い声で
「俺達の子供……沢山つくろうな」
そして妖艶に笑うと愛しい妻を優しく抱き締め、意識が無くなるまで攻め続けるのであった
おまけ
「風呂……いつになったら入れるんだろうな」
「ああ」
「そうね」
「そうだな……」
リクオとつららが大浴場を使っている間
居間では、二人が出てくるのをじっと待つ健気な側近達の姿があったとか
了
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