「つらら、お前に言っておきたいことがある」
「な、なんですか?」
腕に閉じ込めた女を見下ろしながらリクオは真剣な声で女に言った
対する女もリクオの突然の真剣な眼差しに、それまで不機嫌だった顔を改め真剣な、それでいて不安そうな視線を向けた
「つらら、俺はお前の夫だ」
「は、はい?」
突然当たり前の事を言われ、つららは一瞬キョトンと夫を見上げる
つららのその視線を見下ろしながらリクオは続けた
「これから組は更に仲間を増やし大きくなっていく」
「はい」
「正直俺一人じゃあまり自信は無い」
「そ、そんな事は……」
「そこで、だ。お前には俺の側に居て力になって欲しい」
「もちろんです」
「ふっ、力になるって言っても他の側近達じゃあ出来ないことだ」
「え?それはどういう……」
「俺が落ち込んだ時は慰めろ、迷ってる時には一緒になって考えてくれ、そして俺が間違っていた時には遠慮なく叱り飛ばせ、昔みたいにな」
リクオはそこまで言うと、にっと笑った
「もう、リクオ様……でも分りました肝に銘じておきます」
懐かしい悪戯小僧の様なその笑みに、つららも苦笑しながら頷く
「そして、こっからが一番肝心だ」
笑みをすっと消すと先程よりも真剣な眼差しでリクオはつららを見下ろしてきた
「は、はい……」
その視線につららも思わずごくりと喉を鳴らす
「いいか?俺がお前を必要とした時、つららお前は必ずそれに応えろ」
その真剣な眼差しには否という言葉を拒絶する力が宿っていた
思わず息を殺して夫を見上げる
「そ、それは?」
震える声で妻が聞いてきた時
にやり
夫が笑った
否、不適に笑った
その笑顔につららは凍りつく
まさか!?
気づいた時には既に遅く
がばりとリクオが覆いかぶさってきて両手首を掴まれていた
背中にあるのは柔らかい布団
「俺がお前を求めたら、こうやって身を委ねてくれればいいのさ」
「リ、リリリリクオ様〜〜〜!!」
「俺が口吸いしたいと思ったら口吸いしろ、やりたいと思ったらやらせろ!」
「な、な、な、な〜〜〜〜」
にやにやにやにや
まんまと策略に嵌った女は顔を真っ赤にさせて口をパクパクさせた
「つらら」
しかしリクオは、すっとふざけた笑みを消し今度は甘えた声で女の名を呼んできた
その声につららは、え?と真顔になる
「愛してる」
次の瞬間、つららは別の意味で顔を真っ赤にさせた
「リクオ様」
お互い見つめ合う
先程のおちゃらけが嘘のように二人の周りには熱い空気が漂う
「愛してる」
リクオが再度呟くとゆっくりとつららに覆い被さっていった
ちゅっ、ちゅっ、と軽い音が響く
つららの小さな唇を啄ばみながらリクオはその躰をまさぐり始めた
さわさわと腰の辺りをなぞり
ゆっくりと太腿を撫でていく
己の膝をつららの足の間に挟みこみ少しずつその中心に刺激を与えていった
「はぁ、リクオ様」
思う存分堪能された唇は既に充血していた
息の上がりかけた声で夫の名を呼べば応えるようにその唇に吸い付いてきた
今度はねっとりと咥内を蹂躙していく
厚い舌で妻の薄くて小さな舌を絡め取る
ぴくりと跳ねる舌と躰の反応が面白くて更に執拗に攻めた
「んっ、んん〜〜」
ぷはっ、と慣れない口付けに息が続かなくなりつららは慌てて口を離す
足りなくなった酸素を補給していると、リクオの手が服を解していくのに気づいた
どきりと胸が鳴る
ああ、とうとう……
期待と不安が入り乱れながらつららはぎゅっと布団を握り締める
先程言われた宣言通り、リクオの期待に応えようと大人しくしていた
その様子をそっと盗み見ながらリクオは口元に笑みを作る
良い子だ
さすがは俺の妻、とリクオは内心で感嘆の声を上げながらゆっくりと優しく細心の注意を持ってつららの襦袢を肌蹴させていった
するりと滑り落ちた襦袢から覗く肩は華奢だった
護りたい
リクオは自然とそう思った
護り愛したい
いつまでもいつまでも
リクオは胸中でそう呟きながら、愛しい女の肩に誓うように口付けを落としていった
ちゅっと強く吸い付く
紅い痕ができた
契約みたいだ
己がこの女を一生護ると誓う証のように見えた
ちゅっ、ちゅっ、と夢中でつららの躰に己の跡をつけていった
これは俺の女だ、誰にも渡さねぇ
狂気にも似た感情が湧いてくる
この女を失いたくないと思った
心の底から
考えただけで震えがくる
もうあんなのはごめんだと心のどこかが叫んでいる
リクオは過去の苦い記憶に眉間に皺を寄せながら縋るようにつららの躰へと印を刻んでいった
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