おまけ

「け、け、け、け、毛倡妓!!」
バタバタと台所へ向かってきた騒々しい足音と共につららがその勢いのまま中へと入ってきた
「なに?一体どうしたのよ?リクオ様にでも襲われたの?」
台所仕事をしていた毛倡妓は割烹着姿のまま振り返り、にやにやと茶化す
「違うわよ!」
ぜい、ぜい、と全速力で走ってきたつららは息も絶え絶えに叫ぶ

「あら残念」
そんなつららに毛倡妓はつまらなそうに口を尖らせながら「じゃあなによ?」と聞き返してきた
聞き返されたつららは

「リクオ様に告白されちゃったの!!!」

と、目を血走らせ至近距離で叫んできた
そんなつららの言葉に
「あっそう」
とだけ言うと毛倡妓はぷいっと、まな板の方へと戻ってしまった
「え、ちょ、ちょっと毛倡妓・・・」
冷たいじゃない、と仲間の素っ気無い態度につららは半泣き状態になる
しかし、そんなつららに毛倡妓は
「そんな事知ってるわよ」
とだけ言ってきた
その言葉につららは固まる
「ふえ?な、なに?」
「だ〜か〜ら、みんな知ってるって」
さっきから言ってるでしょう、と面倒臭そうにちらりと視線を寄越しながら毛倡妓が付け足してきた
その言葉に呆けた顔をしていたつららだったが

「おや、さっき叫び声が聞こえてきたがどうかしたのか?」
先程の騒ぎを聞きつけたのか、ぞろぞろとお馴染みの側近勢が集まってきた
「一体どうしたんだ?」
首無が中にいた毛倡妓に話しかける
「ああ、首無、リクオ様がとうとう告白したらしいわよ」
呆然とするつららを他所に毛倡妓は首無に振り返りしたり顔でそう教えた

「なに、本当か?」
その言葉に首無がぱああっと顔を輝かせる

「いや〜やっとリクオ様も言ったのかぁ、がっはっはっ」
そう言ってうんうんと頷き嬉しそうに笑い出だしたのは青田坊だ

「へえ〜、とうとう言ったんだ〜リクオ様も結構大胆だねぇ〜☆」
頭の後ろで手を組んで別段どうでもいいような感じで河童が言ってきた

「おお、それはめでたい!では早速今日はお赤飯だな」
黒田坊は少しずれた喜び方をしながら今日は宴会だと涎を垂らしていた

そんな仲間達の呟きを聞きながらつららはわなわなと震えた

「え?え?もしかして・・・・みんな」

知ってたの?

その呟きに一同一斉に頷いた



うん



チャンチャン



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