つららがリクオの行動に頭を悩ませている頃――
自室に戻ったリクオはふいに声を掛けられた
『おい』
「ん?ああ君か」
リクオは脳内で響くもう一人の自分――夜の自分――の声に気だるそうに返事をした
『何だ今のは?』
「何って?」
リクオは夜の自分の声に首を傾げた
『しらばっくれるなよ』
「ああ、さっきの事?いいじゃない君ばっかりなんてズルイよ、最初に約束したのは僕なんだから」
リクオは当然とばかりに夜の自分に言った
『ふん、まあせいぜい精進するこった。今のお前じゃ守れないからな』
リクオは夜の辛辣な言葉に、胸の奥がちくりと痛んだが、平静を装うとにやりと口角を上げて言ってやった
「ああ、もちろん君に独り占めなんてさせないからね」
『ふ・・・言うねぇ』
「当たり前だろう?君は僕なんだから」
『ああそうだな、お前は俺なんだからな』
「いつか・・・」
リクオはそこまで呟くと徐に口を閉ざした
その先は言わずとも相手はわかっているから・・・・
僕は君で
俺はお前
ひとつの心を共有する二人の想いは同じ
いつか・・・・
いつか僕だけでも彼女を守れるように・・・・
『僕がつららを守るんだい』
青く晴れ渡る空を見上げながら、遠い昔に誓った言葉を思い出す
僕はもっともっと強くならなきゃね
ある晴れた日の固い決意であった
了
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