第三トラップ――河童
リクオが向かうその先には
河童が廊下の柱に凭れながら腕を頭の後ろに組んでぼんやりと座っていた
「お前も邪魔すんのか?」
リクオは立ち止まり、珍しい参加者に訝しげに視線をやる
「う〜ん?ここにいろって言われたけど、別に邪魔する気無いし」
「そうか・・・じゃあお前にはこれをやろう」
褒美だ、と言ってリクオが懐から取り出したのは、3本のキュウリ
それを受け取ると河童はありがとうございますと嬉しそうにお辞儀をして、そのまま庭の池へとスタタタタ〜と走り出しドボンとダイブすると、ぷか〜と池に浮かびながら美味しそうにきゅうりを食べ始めた
「ふ、たわいもない」
リクオはにやりと笑うと廊下の先へと進んで行った
第四トラップ――黒田坊&青田坊
雪女の部屋まであと少し、という所で突然横の襖ががらりと開いた
リクオは「またか?」と足を止め身構える
襖を開けて出てきたのは、赤い顔をした青田坊と黒田坊だった
「お〜リクオ様」
「やや、こんな所にリクオ様?」
どうされました〜?と陽気な声で言ってくる黒と青の息はもの凄く酒臭い
酔ってんのか?
ふらふらとした足取りでこちらに近寄ってくる二人を訝しげに見ていると、思い出したように黒田坊が口を開いた
「おおそう言えば、今日は首無に何か頼まれごとをしていたような・・・」
「あ〜、そうだったか?」
「確か雪女をリクオ様から守れとか・・・・」
「ほ〜リクオ様から・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「「で、リクオ様はどちらに?」」
「・・・・・つららの所だ」
二人の視線に絶えながら、こうなりゃヤケだ!と正々堂々と言い切ってやった
すると、黒と青はリクオの言葉にきょとんとした顔をしていたのだが・・・・
次の瞬間盛大に笑い出した
「がっはっはっはっ、それでこそリクオ様」
「お〜!流石はリクオ様」
リクオの肩をバシバシと叩きながら何やら嬉しそうに褒め称えてきた
「なんなんだ?」
何が流石なんだろうと、リクオは酔っ払いの意味不明な行動に冷や汗を流しながらたじろぐ
「うむ、堂々たるその姿勢感服いたしましたぞ」
「うむ、なんとも男らしいお姿、そんな若にはご褒美を差し上げましょう」
うんうんと頷きながら黒田坊が懐から何やら取り出し、リクオの手の中に無理やり握らせる
「じゃ、若頑張ってくださいよ〜」
「期待しておりますぞ」
と言って二人肩を組みながら千鳥足で去って行ってしまった
後に残されたリクオの手の中には――
小さなアルミ包装――真ん中は丸い輪っかに盛り上がり包装の縁は切り易いようにギザギザの付いたアレ――が一つちょこんと乗っかっていた
「一つで足りるかな?」
リクオはまじまじとそれを見つめぼそりと呟いた
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