ど、どうしよう・・・・
リクオは頭を抱えていた
原因はもちろんつららである
つららの態度の変化から早くも三日が過ぎようとしていたのだが
そのうち慣れるだろう、とタカを括っていたリクオは事の重大さに今になって気づいたのであった
雪女ことつららは、もの凄く古風なうえに超が付くほどの恥ずかしがり屋だった
忘れてたよ・・・・
半眼で目の前の女を見ながらリクオは大きな溜息を吐いていた
そうだよね、こうなるってなんで気づかなかったんだろう、僕
目の前の女――つららは何故かリクオから数メートルも離れた場所で体を硬くして正座していた
手には洗濯物
いつもの調子は何処へやら、ぎこちない手つきで洗濯物をたたんでいた
そのすぐ横には有り得ない程うず高く積まれた洗濯物がそびえている
しかもその洗濯物の塔は不安定に揺れていた
あと何枚か乗せたら倒れそうだなとリクオが心配している矢先、案の定つららは期待に応えてくれた
ぐしゃり、と雪崩を起こした洗濯物の山はつらら目がけて倒れていき、見事にその下敷きになった
「きゃ〜」と可愛らしい悲鳴を上げるつららに、リクオは慌てて駆け寄ると腕を捕まえて助け出してやる
無我夢中で、ぐいっと抱き寄せた小さな体
胸に抱いた久方振りのその柔らかい感触に、リクオは無意識のうちに頬を摺り寄せていた
しかしその甘美な時間も、突然つららが手を突っ張ってリクオを突き飛ばした事で敢え無く終了してしまった
「ひゃ、ひゃああああ」
悲鳴と共に、ありったけの力で突き飛ばされたリクオは、盛大に後ろの壁に激突する
「うっ」と、思わず呻いた声につららがはっと我に返ると、ようやく自分がしでかした事に気づくや大慌てでリクオに駆け寄ってきた
「ご、ごごごごめんなさいリクオ様!!」
「大丈夫だよつらら」
あわあわと冷や汗を流し眉根を下げて謝ってくるつららに、リクオは優しく答えた
「で、でも・・・」
尚もおろおろとするつららに、リクオは暫し考え込むと
「んー、じゃあ膝枕して」
と痛む頭を擦りながら極上の笑顔でおねだりしてみた
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