「はっ!リ、リクオ様、も、申し訳ありません!!」
ずざぁ、と三羽同時に数メートル後退った彼等は、冷や汗をだらだら流しながら「そ、それではこの続きはお二人だけで!」と一目散に空へと逃げて行った
その様子をぽかんと見上げていたつららは、横から聞こえてきたリクオの声に我に返る
「つらら、それで返事は?」
「は、はい!も、もちろんお受けいたしますぅぅ!!」
こちらも何故か背筋に薄ら寒いものを感じながらこくこくと頷いていた
そんなつららの返事に気を良くしたのか、般若の笑顔はすっと消えいつもの優しい笑顔に戻っていた
「じゃ、つらら今夜皆にこの事伝えるから!」
「へ?」
また後で来るからね〜♪とスキップをせんばかりの勢いで嬉しそうに駆け出しながら、リクオはあっという間に去って行ってしまった
その場に残されたつららはというと――
「え?え?今夜って・・・・」
とリクオの言った意味を理解できず、呆然と抱える花束に埋まっていたのであった
そして今
関東中の全貸元達が集う中、重苦しい空気を払うかのようにすっと襖が開かれた
そこから現れたのは夜の闇を纏った妖のリクオ
その威厳のある姿に一同ごくりと息を飲む
「待たせたな」
妖艶な微笑を湛えながらリクオは部屋の中に勢揃いした貸元達を見渡した
そうこれからが本番
リクオはひとり口角を上げながら本日最大の策を講じるべく前へと進んだ
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