ふと、つららの傷を治療しているうちに、その傷が衣服に隠れた所にまである事に余計な心配が脳裏を掠めた
リクオは少しだけ聞いて良いものかと躊躇したが、しかし覚悟を決めるとつららへと問いかけてみた
「なあ・・・他に何かされてないか?」
その言葉に目の前の少女は面白いぐらいに反応をした
「され・・・たのか?」
「あ、いえ・・・」
明らかに誤魔化すような素振りで視線を逸らすつららに、リクオは体の中がかっと熱くなる衝動に襲われた
そのままつららの手首を掴み睨むような視線を向ける
「何された?」
怒気を孕んだような声音につららはびくりと震えた
その真剣な眼差しに呑まれそうになる
つららは視線を左右に揺らしながらぽつりと呟いた
「その・・・キスを・・・されました」
「・・・・・他には?」
躊躇いがちに呟いた言葉に間髪入れずに更に問い質され、つららはびくりと肩を揺らした
膝に置いた片方の手をぎゅっと握り締める
そろりと己の中心を隠すようにずらしたその拳から嫌な汗が滲んできた
思い出すあの嫌な感触
さわさわと生暖かい手で体中をまさぐられた
髪に
首に
唇に
ぞくりと背筋に寒気が走る
胸に
太腿に
あそこに
じわりと吐き気が込み上げてきた
「う・・・ぐ」
口を覆い苦しそうに呻き声を上げる
突然その場に蹲ってしまったつららにリクオは慌てた
「おい・・・大丈夫か?」
両手で口元を覆い前屈みになって必死に耐えるつららに、リクオは膝立ちになりながら背中を擦ってやる
ふるふると震える背中を見ながらリクオはぎりっと唇を噛んだ
己が駆けつける間にこれ程までの恐怖をつららに植えつけたあの男が許せなかった
もう一度ボコボコにしてやりたい衝動に駆られながら、リクオはつららが落ち着くのをただひたすら待つ事しかできなかった
暫くつららの背中を擦り続けていると、落ち着きを取り戻したつららがようやく顔を上げた
「す、すみません・・・とんだ失態を」
そう言って頭を下げるつららにリクオは腹を立てた
「なんでお前が謝るんだよ」
「え?」
「謝らなきゃいけないのは俺の方だ・・・こんな、こんな傷だらけにさせちまって」
俺は主人失格だな、そう言って自嘲気味に苦笑するリクオにつららは頭を振った
「そんな、そんな事はありません!私が、私が不甲斐ないばかりに・・・・」
「つらら」
必死に首を横に振るつららにリクオは優しい声音で囁いてきた
「リクオ様?」
頬に手を沿え、己の顔を覗きこんでくる主につららは首をかしげる
リクオはゆっくりと瞬きし、そしてはっきりと聞こえるように言葉を紡いだ
「あいつに触られた所を教えてくれ」
「え・・・」
リクオの言葉につららは驚き目を瞠る
しかしリクオの目は真剣そのもので
どこか熱を孕んだその視線につららは抗うことができなかった
そろりと大きなリクオの手を取ると、震えながらゆっくりとあの男に触られた箇所を教えていった
髪に
頬に
胸に
腿に
「・・・・・・」
その下へと誘導しかけてつららの手がぴたりと止まった
「ここか?」
躊躇うような恥らうようなつららの仕草に、リクオは腕に力を込めるとその先へと指先を進めた
くちゅり
小さな音がリクオの鼓膜に届く
「ん・・・」
布越しに触れられ、つららは羞恥に頬を染めながら小さく震えた
リクオはその様子をじっと見つめる
くちゅくちゅと次第に大きくなる音に、つららは小さな掠れた声で言ってきた
「も、もう・・・これ以上は・・・」
頬を真っ赤に染めふるふると震えながらそう懇願するつららに、リクオは目を細めるとすっと手を離した
そしてさわり、とつららの内腿を熱い掌で撫でる
「ひゃっ」
火傷しそうな位熱いリクオの手の感触につららは堪らず声を上げる
「リクオ様・・・・」
ありがとうございます
つららは謝罪の言葉を伝えようとした
しかし
突然のリクオからの抱擁に言葉を失う
「つらら」
ぎゅうっと力強く抱き締められ名を呼ばれた
「リクオ様」
少しだけ力を緩めて己を見下ろしてきた主に、つららは涙を浮かべて笑顔を作った
「本当にありがとうございます」
お陰で落ち着きました、そう言って気丈に振舞う少女が健気で
一瞬でも怖い思いをさせてしまった事が許せなくて
何か己にできないかと考えた挙句
気づいた時にはその柔らかな唇を奪っていた
驚いて目を瞠る彼女の大きな瞳を見つめながら
リクオは吸い込まれるようにつららの唇を何度も啄んだ
ちゅっちゅっと、リップ音を響かせながら何度も何度もつららの唇を堪能する
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